昼寝研究所寝言レポート#1844
【本の短い紹介のようなもの第10回】
年を経るごとに細く朧になっていく記憶を空想で補いつついままで読んだ中でおもしろい本を紹介するコーナーです。
さて、今回はもう何回目かのディクスン・カーです。何しろ一番好きな作家はカーなので。
あ、この本はカーター・ディクスン名義でした。
名作の誉れ高い『ユダの窓』でございます。1938年に発表された作品。
ヘンリー・メリヴェル卿が弁護士として裁判に出席します。
彼が弁護するのは……
・内側から鍵のかかった部屋の中にいた
・すぐ側には矢が刺さって死んでいる人がいた
という状況で殺人の容疑で逮捕された青年。
そもそも、青年は恋人との結婚を許してもらうためにその父親に会いにいったのですが、緊張の中で勧められるままに酒を飲んで気を失ってしまい、目が覚めた時には死体と二人きりという状況だったと主張します。
が、当然のように信じてもらえません。それが本当だとしたら、実行犯はどこへ消えたというのか、青年にもわからないのです。
弁護に立ったヘンリー・メリヴェル卿は断言します。犯人はユダの窓を使ったのだと。それはどんな部屋にも存在するのだと。
はい、トリックは昔の推理謎々でバラされていたぐらい、一言で説明ができるような単純なものです。それだけに切れ味抜群。
現在の創元推理文庫版には貴重な座談会が収録されています。
Kindle版にも収録されているので、ご心配なく!
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さて、昨日紹介したマンガ家のTwitterでの呟きについて。
https://twitter.com/okome103/status/1114426108785467392
……電子書籍版では読んでいた岩見樹代子(いわみ きよこ)先生の『ルミナス=ブルー』というマンガ。
1巻の売り上げが良くないので、2巻で終了という判断になりそうなので買ってくださいと、マンガ家さんからの悲痛なお願いです。
電子書籍版を読んだ限りでは、わたしの好みとは少しズレている感じがしたのですが、以前電子書籍で読んだ『薄い透明な水色に』がなかなかクセのある良い話だったので、この作品もここからの展開に期待だと思っていたところでした。
そこでこの呟きですよ!
まあ、マンガ家さんがこうしたお願いをするのはちょくちょくあることで、いまのご時世、本当に1巻の売れ行きで即打ち切り決定になってしまうことも多いようです。
もちろん、出版社の言い分はいくらでもあるでしょうけど……
というわけで、まあ、応援の意味で紙本の購入するかと……
ただ、百合姫コミックスがいつも行っているヤマダ電機にあるかどうかわからないので、入手可能な本屋としてツイートにあったメロンブックスへ向かうことに。会社からも近いし、特典もまだあるかも、とのことなので。
とはいえ、あれでしょ?
メロンブックスって、いわゆる『デンキ街の本屋さん』でしょ?
入ったことないや……
しかし、まあ、この年になってそういうのもいいかと思っていざ突撃、と密かにテンション上げて入りましたよ。
おお、思ったより普通……
でも、よく見ると、普通の本屋にない薄い本ってやつですか? なんかスゴい勢いで展示されている……ヤバい。若い頃にこんなものを知ってしまったら、確実に溺れていました。
昼休みなので、あまり時間がありません。近くで何か作業をしている店員のお兄さんに『百合姫コミックスどこですか?』と訊ねると、すぐ横の棚を指して「この辺りですね」と教えてくれました。で、ずらずらっと見ます。おお、アレもコレも電子書籍で読んだことあるぞ。しかし、探しているタイトルが見当たりません。すぐ隣で作業を続ける店員さんに「ルミナス=ブルーって本を探しているんですけど」と訊ねると「ああ、それは確かこっちですね……」と案内してくれました。途中でそのお兄さんが他の店員に「ルミナス=ブルーってどこでしたっけ?」と訊ねると「ああ、あの写真のやつ。こっち」と平積みにの台に案内してくれました。知ってるんだ……
ありました! ざっと見ただけで30冊ぐらい積んでありそう。
シュリンクの上には「クリアファイル」とシールが。発売が3/18ですが、やはりまだ特典が残っているということは、売れていないという……
とりあえず購入。
他にも色々と物欲を駆り立てるモノが目に入りましたが、さっさと退散しました。
でも、会員カードは作ったぞ。大人しいデザインのモノと、一目でコレはちょっと! というものから選べというので、迷わず「コレはちょっと!」というおっさんが持ってはいけない感じのものを選びましたとさ。
まあ、このTwitterの呟きに関して、作者がそういうことを言うのはどうかと思う、という人もいて、そういう意見もわかります。
わたしは自分の好きなマンガが次々に生まれてくるこの状況を守りたいので、こんなにキレイなマンガを全力で描いて単行本を出した作者さんが売れなくて打ち切りになって悲しむなんてことになるのを避けたいのです。
一つ言わせてもらうとしたら、作者の自画像が怖い……虚無か! そこは顔がないと! 素直に応援しにくいよ!
幸い、Twitterでは軽くバズった状態になっているようで、一人で何冊も買って存続を訴えている人もたくさんいます。これで、なんとかなるといいけれど……
わたしはもう書籍は基本電子書籍派です。紙の本の手触りとかモノとしてのアレがどうとかいう話の優先度は最下層の下に埋めました。iPad miniで読むマンガ最高!
が、まあ、改めて紙のマンガを読むと見開きが迫力ありますよね……寧々の笑顔が「カワイクない」というエピソードの後のp146-147のあのページは、紙とiPad miniだと全然感じ方が違う、と思ってしまいました……いや、デカいiPad Proを買えばいいんですけどね。
電子書籍の売り上げも、打ち切り回避の判断基準にはなるそうです。
しかし、デンキ街の本屋さんは強烈でした……まさかあの本の表紙がガチャガチャになっているなんて……ちょっとハマってしまいそうで、怖いです。
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というわけで昨日2019年4月9日の自作Kindle有料版ダウンロード数は0冊。無料版が5冊でした。
Kindle Unlimitedの既読ページ数は1893ページでした。ありがとうございました。
あ、拙著『チョコレートの天使』に42件目のレビューをいただきました! ひゃっほー。
バレンタインデーの話かと思ったら違った! とのこと。それを狙ったタイトルです! 嘘です。紛らわしくてスミマセン! でも楽しんでいただけたようで何より。ありがとうございました。
それでは本日もお疲れ様でした。
お休みなさい。