2020年03月03日
濃縮された愉しさ『鶴子とメグミカ』
2020年3月3日
昼寝研究所寝言レポート#2170
今日は午前中休んで軽自動車の何やらを取りに区役所へ。
5分で用事は終わり、いつも行っているスーパーへ。トイレットペーパーの棚は空。
スーパーの上に入っている本屋へ行くも目当ての『スキップとローファー』1巻は見当たらず。
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お昼を食べながらシャーロック・ホームズの冒険(ジェレミーブレッド)を見ました。
昨日の『マスグレーヴ家の儀式書』に続いて『第二の血痕』です。
元々原作への愛が感じられた作品でしたが、シーズン2になってからラストシーンがお洒落というか、かなりこだわった感じに。昨日のマスグレーヴなんて最後ホラー映画っぽいけどその直後に不気味さを孕んだ美しい幻想的な風景という離れ業。途中の影絵っぽいシーンの遊び心も楽しいです。
今日の『第二の血痕』も事件解決時のホームズが仕掛けたトリックのシーン。手紙を持って画面の端に消えて、二人の男が大騒ぎしているところの前へすいっとでてきて煙草に火を付ける。カッコよすぎるし、ラストの大喜びのシーンも、はいお見事。
いやあ、楽しいですねえ。
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昨日届いた小説宝石ですけど、いまは他の長編小説を読んでおり、自分の脳の能力略して脳力が1コア1スレッドで1ヘルツ程度のスペックなので、二つの小説を平行して読むことがムズカシイのです。
と思っていましたが、まあ、短編なら問題ないでしょう。
というわけで、午前中の暇な時間と通勤電車で読みました。
大澤めぐみ先生の短編『鶴子とメグミカ』です。
掲載されているのは光文社の小説宝石2020年3月号。
まあ、ミステリ好きが知っている宝石というのは、かつて江戸川乱歩が編集長を務めて、横溝正史の『悪魔の手毬唄』が連載されたという宝石社の探偵小説雑誌。
Wikipediaによれば最終的に経営が行き詰まって251号で廃刊だそうです。
で、その版権が光文社に買い取られ、いくつか出た姉妹紙の一つが小説宝石であると。なるほど。Wikipediaすごいな。
そんな歴史のある雑誌でございます。
わたしが最初に読んだ大澤作品は光文社文庫の『彼女は死んでも治らない』でした。
まあ、そもそも「このミス」でラノベてきな作品にもこんなものがあるよ、と紹介されていたので、ミステリてきなものを期待して読んだわけです。
友達がすぐに殺されてしまう女子高生。でも、犯人を指摘すれば大丈夫、というぶっ飛んだ内容。これが見事に面白かったのですが、設定以上に独特の饒舌な語り口に魅せられてしまいました。
で、それまでに出ていた角川スニーカー文庫の作品を読んでみると、ファンタジーや青春小説ですが、ちょくちょくミステリてきな技が仕込まれていたりして、なるほど、これらを経ての『彼女は死んでも〜』なのかと。
そして、光文社の小説宝石ですよ。目次に『本誌初登場!』と書かれています。
他の作家もミステリ寄りですが、SFや時代小説の書き手もいます。最近はあまり本を読まないわたしも名前だけは知っている有名な作家が多いです。
そんな中で大澤作品がどんなふうに読まれるのか、ファンとしてはちょっとドキドキしながら読みました。
おお、おもしろい!
かなり特殊な性格である主人公と、やっぱりどうかという友人との軽妙なやりとり。練り上げられたセリフの応酬。我が子を喰らう〜のくだりは最高です。
主人公が追いかける事件そのものはかなりまっとうなミステリてき骨格。チラシの手がかりやら隠し場所やら傍点のセリフ、Q&Aもセンスの光る要素ちりばめ。ミステリ好きはくすぐられるかと。
そして、この枚数でここまでサービスするかという最後の展開。ラストの一文。なんだよかわいく終わったな!
はい、満足です〜
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で、『ワン・モア・ヌーク』に戻ると、ヒリヒリした展開……どうなっちゃうんだ……
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本日『チョコレートの天使』に65件目のレビューをいただきました〜
初Kindleがこの本だったそうで……そんな人もいるのだと思うとなんかスミマセン。
幸い楽しんでいただいたようでよかったです。
個々の登場人物やこの世界の話を作って欲しいと。ミステリー要素は抜きにして。とのこと。
……いやあ、実際のところ無意味なミステリー要素を入れてしまう呪いにかかっているのです。
ほら、ミステリの禁じ手ってあるじゃないですか。それが組み合わさったりするともうそれは最悪だぞって思ったらもう書かずにいられない。書きながら『うっひゃらー』と謎の奇声を発しながらテンションが上がるという幸福な呪いなのです。副作用として書き手の幸福がそのまま読み手の不幸に繋がるというエネルギー保存の法則だけど差し引きするとあれマイナスが随分大きいぞなんでかな。
そんなわけですが、ステキな感想ありがとうございました!
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というわけで昨日2020年3月2日の自作Kindle有料版ダウンロード数は3冊。無料版が1冊でした。
Kindle Unlimitedの既読ページ数は1938ページ。ありがとうございました。
ここ二三日で『チョコレートの天使』の順位がまた少し上がってます。ついにカミュのペストを抜いたぞ! (追記:抜いたのは紙の本で、さらに上にKindle版がありました……)
ペストって70年前の小説か。
これを読んだことないけど、カーの『黒死荘の殺人』は読んだことあります。
これって、小栗虫太郎のわけわからん小説として名高い『黒死館殺人事件』とタイトルが似ていますが……
Wikipediaによれば両方とも1934年に発表された作品。それもすごい偶然。
まあ、翻訳が出たときに訳者が『黒死館』を意識したのかも。
黒死荘〜は東京創元社。ハヤカワだと『プレーグ・コートの殺人』ですね。それよりは黒死荘の殺人の方が趣がある感じ。
それでは本日もお疲れ様でした。
お休みなさい。
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