2018年02月17日

車検と梯子落下の日

昼寝研究所寝言レポート#1428

いつも通り土曜日をなんとかやり過ごして穏やかな時間をゆったりと楽しもうと思っていたのにあれやこれやそれやあって毎回こそあど言葉を列挙すると大体は一つ使いにくいものがあるという事実にちょっと気持ちがざわざわしながらお送りする寝言日記でございます。

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というわけで、本日は車検を受けるために車で近所の○の森へ。
と思ったらその隣の車検場へ回されました。そういえば電話で言われていましたが、忘れていました。
で、車検が終わるのを待っている間に保険の見直し。おお、車検をやっているところで自動車保険も、というのはまったくもって安心です。もうここに決めた。

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無事車検も終わって近所の家電量販店へ。
ちょっと穴場だからひょっとしてベヨネッタの1&2の限定パッケージがあるんじゃないかと夢を見て訪れたのですが、そんな都合の良い話があるわけもなく……
しかし、もう限定版とか一切止めて欲しいです。転売屋に力を与えるだけだというのに……
というわけで、ベヨネッタ2のパッケージ版はあって、いずれ買うとは思うのですが、今日のところは限定版がないことへの腹立ちで憤りを沈めることができず、そのまま帰りました。

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帰ってきてしばらくすると業者がやってきて火災警報器とベランダの避難ばしごの点検。いつもは5分程度であっさり終わるのですが、なにやらベランダに出て行ったおっちゃんがガタガタやっています。
何事かと思っていると、別の人が訪れてベランダへ。

で、何が起こったのかというと……
避難ばしごの点検をしようと、蓋を開けたら、折りたたみ式の梯子を支えているワイヤーが切れて、15kgの梯子が一気に下まで伸びきった状態になって、下のベランダのステンレスの物干し竿を直撃したという……恐ろしいことです。

点検を請け負った工務店が曲がった物干し竿の弁償までやってくれるのですが、なんと本日このマンションで同じようにワイヤーが切れて梯子が落ちたのが二件目だそうです。
……それって、もうヤバいのでは。

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夕方にそれまでニュースを見ないようにしていたオリンピックのフィギュアを見ました。
羽生結弦がすごかった日ということです。
あれだけマスコミにしつこくつきまとわれて、大きなプレッシャーを浴びて、あんな滑りができるなんて……

というわけで、今年最初で最後のオリンピックの話題でした。

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明日もちょっと出かける用事があって、とても面倒ですが……まあ、クリアしなければならないミッションということらしいのでしょうがないのです。

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さよならポニーテールの新しいアルバム『君は僕の宇宙』初回限定版を購入しました。
初回特典はホロボックスという謎の仕掛け。
これ、箱の上に置いたスマートフォンの画面の上半分を前景、下半分を背景という具合に表示させる機能があって、スマートフォンのアプリ経由でこの箱用のミュージックビデオを見ることができるのです。

と思って、一生懸命ホロボックスを組み立ててアプリをダウンロードしたら、閲覧コードを入力しろと表示されて、その先に進めません。
閲覧コードってなに? 箱の組み立て説明書を見ても、何も書かれていません。CDの入れ物が通常のジャケットよりも一回り大きい紙製で、その中を見ても、CDと歌詞カードしかありません。
ちょっと途方に暮れて、せっかく作ったホロボックスを放置。
1時間ぐらいたってまたジャケットの中を見たら、さっきは見つけられなかった名刺ぐらいの大きさのカードを発見。そこに閲覧コードが書いてありました!

というわけで、無事に見ることができましたが、スマートフォンの画面が大きすぎて、ちょっとうまく見えないかも。

まあ楽しいからよしとしましょう。

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というわけで昨日2018年2月16日の自作Kindle有料版ダウンロード数は0冊。無料版は3冊でした。
Kindle Unlimitedの既読ページ数は693ページ。ありがとうございました。

本日も車検の間に小説が少し進みました。
タイトルがかなりゴールに肉薄してきた感があります。
もう一ひねりでカタチになるんじゃないかと思います。
今回も50個ぐらい似たようなタイトルを考えていると思います。

それでは本日もお疲れ様でした。
お休みなさい。

未消化のネタ
・困ったときには自作小説の紹介
・困ったときには詩のような戯れ言を垂れ流すこと
・困った時には今月の本の雑誌
・『徒然チルドレン』もう一回読んでからとか言っていつ読むのか……
・『蝉時雨のやむ頃』やっぱりすごい。スゴすぎて次が読めん……
・あらためて『エリア51』に手を出しました!


私的名作マンガ(Kindleで入手可能なもの)








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2018年02月15日

月のなにかがどうとやら

昼寝研究所寝言レポート#1426

いつも通り次の小説のタイトルが決まらなくて月のつく言葉を情景を願いを呪いを頭の中でグルグル回してブツブツ呟きながら歩いてふと気がつくと上の方から射し込む月の光が綺麗だなあという状況なら素敵なのにと思いつつお送りする寝言日記でございます。

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AbemaTVのRTD LEAGUE 2017を毎日延々と見ております
こんな番組を見続けられるなんて幸せすぎる……

今夜はWHITE DIVISION 23回戦。
好きなのは小林剛プロと村上淳プロですか……いや、他にもたくさんいます。
とても書き切れません。
どのプロも個性があって、おもしろいのです。

打っている時の雰囲気と、解説をするときのギャップも楽しめます。
終わった後の楽屋の様子もたまりません。

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タイトルなんですよ。
いま書いている小説のタイトルが出てきません。
まあ、もう少ししたらカタチになりそうな感じではあるのですが……

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Lenovoからideapad 720Sが発売されました。
https://www3.lenovo.com/jp/ja/notebooks/ideapad/ideapad-700-series/Ideapad-720S-15/p/88IP70S0895

うおお、カッチョイイ!
ベゼルの狭い15.6インチディスプレイでこれだけ薄くて(17.95mm)軽くて(1.9kg)グラフィックチップにNVIDIA GeForce GTX 1050 Tiを搭載。
べろーんと180度ディスプレイが開くのもいいです。

……しかし、こういった製品で非常に大きな問題になるのが「ACアダプタの大きさ」なのです。
グラフィックチップは性能が上がるほど消費電力が大きいのです。そうなると必然的にACアダプタが大きくなりがち。そこを確認してから購入したいものです。

あと、気になるのが冷却の問題です。
薄いノートでは物理的に大きなファンを内蔵することができません。
でも、高性能のグラフィックチップは冷やさなければいけないのです。

去年の夏にASUSから15.6インチディスプレイの薄型ノートが発売されました。
日本では1050のモデルだけでしたが、海外では1050 Tiが載っていました。
が、これがYoutubeのD2Dチャンネルでは「冷却性能が心配」とされたのです。
1050 Tiは発熱がスゴイと。それを十分に冷やすことができないだろうと。
ゲームをプレイするにはオススメできないと判断されていました。
このチャンネルはゲーミングノートを中心にレビューをしていたので、それなりに信頼度があると思って見ています。
このLenovo製品がどうなのか、気になるところです。

わたしのZenBook 13はこれに比べればグラフィック性能はかなり非力ですが、ACアダプタが小さく、重量も1.13kgというのが重要な要素であると。

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というわけで昨日2018年2月14日の自作Kindle有料版ダウンロード数は1冊。無料版も1冊でした。
Kindle Unlimitedの既読ページ数は884ページ。ありがとうございました。

タイトルが……タイトルが……
そろそろこれが決まらないと、こう、決めの場面が書けないかもしれないじゃないですか。
まあ、見せ場は幾つかあるのですが、やっぱりタイトルに絡めた場面も欲しいので。
じっくり考えるしかないのです……

それでは本日もお疲れ様でした。
お休みなさい。

未消化のネタ
・困ったときには自作小説の紹介
・困ったときには詩のような戯れ言を垂れ流すこと
・困った時には今月の本の雑誌
・『徒然チルドレン』もう一回読んでからとか言っていつ読むのか……
・『蝉時雨のやむ頃』やっぱりすごい。スゴすぎて次が読めん……
・あらためて『エリア51』に手を出しました!


私的名作マンガ(Kindleで入手可能なもの)










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2018年02月14日

苦しいときの己の小説頼み『鉄塔の下で』

昼寝研究所寝言レポート#1425

いつも通り昨日はこの前説で月曜日について文句を言ったのですがなんと火曜日だったという凄まじいトリックに見事にやられてしまったので改めて敵を欺くにはまず自分からというか将を射んとせば先ず自身を射よというか死せる孔明生ける己を走らすとなるともう己は一体誰どこから来てどこへ行くのかと誰彼構わず問いかけつつお送りする寝言日記でございます。

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さて、そんな粗忽者が本日もうっかり日記を書き始めておりますが、もう時間がないので、ここは行稼ぎに自分の小説をコピペ。コピー&ペインでお送りしたいと思います。

というか、創作塾に提出したものを『明日公開します』と言っていたような気がしますので、そのしたかどうかも忘れた約束をいまここできっちりうっかり果たしたいと思います。

おお、いま貼り付けたら一気に日記の行数がうなぎ登りの昼下がり。
お送りするのは一番最初にKindleで公開した無料の短編集『鉄塔の下で その他の短編』から表題作の『鉄塔の下で』です。
おお、良いオハナシだなあ……多分過去にもこのブログで掲載しましたが、あと三十回ぐらいは取り上げるのではないかと思います。

しかも、本日は特別に『でんでんマークダウン』記法そのままでお送りします。
ルビを振るために必要な、{送|おく}り{仮名|がな}というような書き方です。

このように書いた小説を『でんでんコンバーター』に流し込むと、Kindleデータとして提出すべきepubファイルが生成されるということです。

それでは赤井五郎がお送りします。郷愁を誘う短編『鉄塔の下で』最新修正バージョンです。


#鉄塔の下で
 
 
 公園の近くには大きな川が流れていた。
 正確には辺りの{田畑|たはた}に水を運ぶための用水路で、何か名前があったはずだけど、もう忘れてしまった。
 橋を越えると見渡す限りに田圃が広がって、ずっと向こうには隣町の神社の鳥居が小さく見えていた。年に一度、お祭りがある時に連れていってもらえるのを楽しみにしていたものだ。
 
 水路の分岐している小さな溜め池では、近所の男の子達がよくザリガニやフナをとっていた。その辺りは彼等のエリアで、わたしはあまり近づかないようにしていた。川に沿って、流れとは逆の方へ二十分ぐらい歩く。途中で国道を越えると、田と畑と農家だけの景色になり、あまり人の姿をみかけなくなる。土手の斜面を下って、田の間に伸びる{畦道|あぜみち}へ。狭い道をまっすぐ行けば神社のある隣町までたどり着くのだけど、わたしはいつも途中で左へ曲がった。
 田に囲まれた中で、そこだけ固い地面になっているところがあった。
 砂利で埋め尽くされた敷地の中心には大きな大きな鉄塔が建っていて、背の高い金網に周りを囲われ『高圧線注意』と書かれた物々しい看板が下がっている。
 いかにも危険そうな雰囲気のせいか、子供達もあまり近寄らない場所だった。
 だから、わたしはそこにいることができたのだ。
 鍵のかかった傾きかけの小屋が金網の外に建っていた。中には入れなかったけど、その後ろには雑草ばかりが勢いよく生えている場所があって、そこがわたしの隠れ家だった。
 背の高い草が生い茂る中へ入っていくと、あっという間に周りが見えなくなる。
 何も見えなくなるということは誰にも見られていないということだ。それを知っていたからとても安心できた。
 座り込んで鉄塔を見上げ、青い空を背景に三角がいくつも並ぶ複雑な構造に見とれていた。あるいは空を横切る電線の行方を追ってその先にある山のことを思った。
 
 そこでの話し相手はリクちゃんだった。
「ねえ、ほらほら、ここからだと電線が五本にみえるでしょ。音楽みたい。リクちゃん五線譜って知ってる? あのね、音符が並んでね、歌になるの。たくさんの音符が並ぶとどんな歌も楽譜になるんだって。鼻歌だってそうだよ。ちょうどいい大きさの雲が来ないかな。そしたらリクちゃんも音符がどんなふうかわかるのにね」
 学校であったことやわたしの考えていることを、リクちゃんはいつも聞いてくれた。他に仲のよい友達はいなかった。
「ねえ、山奥に手が一本で足が一本の妖怪がいるんだって。ひでりがみっていうの。リクちゃん知ってる? すごく速く走ることができるんだって。一本足なのにすごいでしょ。あのね、わたし電線の上を走れたら便利だなあって思ってたんだ。ほら、あっちの山からこっちの山まであっという間でしょ。ね? 谷も川も関係ないし。あんな遠くからでもこの鉄塔まで楽に来れるよ。ひでりがみなら電線を走れるかなあ……でも考えてみたら恐いね。すごい高い場所だからきっと風もすごいよ。落っこちちゃったら大変だね」
 
 リクちゃんは決してしゃべらなかった。だけど、リクちゃんが言いたいことはなんだってわかった。
「この前ここから帰ったときお母さんに怒られちゃった。あのね、ほら、なんかちくちくするやつあるでしょ。あれがね、セーターの背中にたくさんついてたの。あれなんだろね。えっ? タネなの? ふーん、そうやって違う場所に運んでもらうんだ。へえ。それってなんかうまいやり方だね。すごい。リクちゃん物知りだ」
 
 会えるのは三回に一回ぐらいだったろうか。リクちゃんのために何か持っていっても出会えず無駄になることもあった。そんなときはがっかりだけど、それでもわたしは一人でぼんやり鉄塔と空を見て時間をつぶした。
 会えないことがあるから、会えたときはとても嬉しい。
「ねえねえ、給食のパン残しちゃった。今日ね、食べてる途中で牛乳瓶倒しちゃったの。隣の馬鹿な男の子がふざけてて椅子ごとひっくり返ってわたしの机を掴んだから。牛乳がその子の頭にかかって面白かったけど……リクちゃん、パン食べる? 飲み物ないけど」
 
 いつも草むらの中でしか見かけなかったので、あるとき、小屋の後ろにリクちゃんが佇んでいて驚いた。足下に小さな塚のようなものが作られていた。
「これ自分で作ったの? わたしに見せようってここで待ってたんだ。じゃあ今日は山を作って遊ぼうか。え、これお墓なの? 誰の? 電線からここに落ちたひでりがみ? ああ、それで死んじゃったんだ。ふーん……リクちゃんってもしかして残酷? え? 優しさなんだ。そう言えばそうだね。じゃあ手をあわせて拝んでおこうか」
 
 鉄塔へ向かう途中で出会う男の子達はときおりわたしをからかった。
 いつも無言で無視していたので、ちょっかいを出す標的としてはあまり面白くなかっただろう。そうなるように努めていた。一度、石を投げられたこともあってさすがに怖かったけど、それは向こうの一番威張っている奴が{止|や}めさせた。
「リクちゃん、今日ね、ここに来る途中で『いいものやる』って言われたの。どうせわたしをからかってるだけなんだけど。でね、なにくれたと思う? これ。死んだザリガニ。わたしが怖がると思ってたんだね。しゃくだから平気な顔してそのままもらってきたの。うわー、手が臭くなっちゃった。あっ、リクちゃん食べちゃだめだよ。それからね、河原で遊んでる男の子に関わっちゃだめ。ろくなことないから」
 
 中学生になるとき、わたしは遠く離れた町へと引っ越すことになった。
 引っ越しが決まってから何度か鉄塔の下へ行ったけど、リクちゃんには会えなかった。
 
 あの頃の記憶は、幻なのだろうか。
 新入社員として初めての出張で地元を訪れることになった。出先の仕事が思いがけず順調に終わり、二泊三日の最終日は予約した帰りの電車まで三時間ほど空いてしまった。会社に連絡を入れると、このまま直帰してよいとのお達し。
 悩んだ挙げ句、二両編成の古びた列車に乗って、わたしは懐かしい駅へと向かっていた。
 タクシーを使おうと思ったけど、駅前の小さな煙草屋が古墳巡りにどうぞと貸し自転車屋もやっていて、たいそう安かったので借りることにした。
 駅から田と用水路に挟まれた細い道を十五分も走ると、緩い上り坂になる。左手には見覚えのある広い寺の黒い板塀が見えてくる。ああ、近づいているのだと、少しどきどきする。
 県道を越えるとわたしが住んでいた団地の建物がずらりと姿を現した。一つの棟に十ばかりの家が連なって、それが二十列ほど整然と並ぶ。ああ、そうだ。この道からの眺め。建物の形に見覚えがある。この辺りの二階建ての区域を三区と言っていたことが不意に思い出される。二区は平屋で四区は四階建てだった。
 勝手に浮かび上がってくるいくつもの記憶。朧気な懐かしさに浸食されていく感覚。
 そっくり昔のままというわけではなかった。建物が古くなっているのは予想の範囲内だけど、久々に見る家々は、記憶の中にあるものよりずっと小さく見えた。家の庭や、玄関の肌色の扉。棟の間の細い道。川沿いのフェンス。
 これがわたしのいた世界だった。
 むかし住んでいた家の場所も思い出したけど、そのまま自転車をこぎ続けた。
 用水路は変わらずそこにあったし、田圃も残ってはいた。だけど、やっぱり橋も川幅も小さく感じられた。
 かつて、田の周りは空き地ばかりだったけど、いまでは所狭しと家が並んでいた。隣町の神社はもう見えない。
 さらに自転車を走らせる。農家が点在していた長閑な風景は当たり前のようになくなっていた。
 ただ、わたしが目指す場所ははっきりとしていた。
 記憶と同じ青空の下に、あの鉄塔がそのまま大きく{聳|そび}えていた。
 
 川を渡る。短く細くなった橋。舗装された道に自転車を止める。畦道は中途半端に整備されていた。刈り入れの終わった田に人の姿はなかった。
 あの場所がまだ残っているのが遠くからでも見えた。
 砂利の敷き詰められた一画。鍵の掛かった小屋。
 裏では{黄金|こがね}色のススキが生い茂っていた。
 いや、子供の頃はずっとススキだと思っていたが、いまはオギだとわかる。あの頃とは違うのだ。
 この場所だけは、まるで変わっていないように見えた。
 密集するオギを掻き分けて中へ。
 遠くなる風景。何も見えなくなる。それは誰にも見られていないということ。世界の音が消える。空だけを見るための場所。
 わたしはここで何をしていたのだろう。
 あの頃の気持ちを思い出そうとする。
 柔らかな穂が{靡|なび}くように揺れる。招くように揺れる。
 眩暈。
 足を取られて倒れそうになる。
 伸ばした手が、体が、力強く支えられる。
 そこにリクちゃんがいた。
 わたしはようやく安心する。
 リクちゃんの両手を掴む。
 話したいことはたくさんある。
 だけど、何から始めればいいのか。
 リクちゃんがわたしの手を引っ張る。
 ススキの穂を掻き分けて外へ出た。
 冷たい風が、頬を撫でる。
 寒かった。
 リクちゃんは小屋の側へわたしを連れて行く。
 そして地面を指した。
 土が盛られていた。
 お墓だ。
 頭上を見る。空へ向かう鉄塔の、複雑に絡み合った鉄骨の影に、ひでりがみを探す。
 今度は誰のお墓なのだろうか。
 わたしはリクちゃんを見た。
 リクちゃんは大きな指で自分の顔を指して、次にわたしの顔を指し、最後にお墓を指した。
 リクちゃんの言いたいことがわからなくて困った。リクちゃんはそんなわたしを見て少し笑ったようだった。
 リクちゃんの一つしかない目から涙が落ちた。
 お墓の上に。吸い込まれていく。
 わたしは瞬きを繰り返して、また鉄塔を見上げる。
 遙か遠くの山まで続く電線。どこかに雲がないだろうか。音符になるような。
 遠くなる風景。世界の音。
 わたしは何をしているのだろう。
 視線を戻すとリクちゃんはいなくなっていた。
 
 
 ぼんやりと歩いていた。
 わたしの停めた自転車が遠くに見える。見慣れない景色の中に。
 足を止める。いつの間にか畦道じゃなくなっている。
 いま振り返ったら、そこには揺れるオギも小屋も鉄塔もなくて、ただの家並みがあるだけなのかもしれない。
 きっとあれはわたしとリクちゃんの墓だ。
 出会って心を通わせることができたあの頃のわたし達。
 やっぱりここへ来てよかった。
 さよならリクちゃん。
 おもしろかったね。
 
 自転車をこぎ始める。予約した列車の時間を気にしながら。
 ペダルが重かった。風が目に染みた。
 あの頃、一人でずっと空を見上げていても寂しくなかった。
 
 いまはもう、そうじゃないけど。




というわけで昨日2018年2月13日の自作Kindle有料版ダウンロード数は1冊。無料版も1冊でした。
Kindle Unlimitedの既読ページ数は656ページ。ありがとうございました。

小説はトリックに関連する部分をもうちょっとうまく見せられるように修正。
いやあ、地味だけど思いついてよかった。そこを書きながらニヤニヤしておりました。
うっひょー不気味〜!

それでは本日もお疲れ様でした。
お休みなさい。

未消化のネタ
・困ったときには自作小説の紹介
・困ったときには詩のような戯れ言を垂れ流すこと
・困った時には今月の本の雑誌
・『徒然チルドレン』もう一回読んでからとか言っていつ読むのか……
・『蝉時雨のやむ頃』やっぱりすごい。スゴすぎて次が読めん……
・あらためて『エリア51』に手を出しました!


私的名作マンガ(Kindleで入手可能なもの)









posted by Red56 at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年02月11日

楽しげな『デザインの引き出し33』

昼寝研究所寝言レポート#1422

いつも通り鉄砲町のイオンの食堂からはち切れそうなお腹を抱えつつお送りする寝言日記でございます。

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昨日の夜に見仏記がやっているのを発見したので録画して置きました。
おお、お二人とも相変わらずの雰囲気で笑えます。
しかし、これ、よく地上波で放送できるなあ。

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鉄砲町イオンの前に北花田のイオンに寄って紀伊國屋書店を覗いたのですが、一部で話題になっている『デザインの引き出し 33』がありました。
おお、なんじゃこりゃ。

本が箱に入っています。
最近は卵のパックで紙製のものがありますが、まさにあんな感じの箱に入っているのです。

続いて鉄砲町イオンへ。
古本を見たら1冊500円の棚にどうしても欲しいものが3冊。
さあ、どれを買うべきでしょうか。

……まあ、どれもです。
そして、デザインの引き出しも購入。

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帰って確認したら……
『デザインの引き出し33 箱・袋・シール・包装紙・紙タグなど  梱包・包装に使う紙もの・刷りもの大特集』の「箱」は「箱のような表紙」でした。
うおー、やるなあ!

そして、その表紙に包まれていた付録がスゴいのです。
で、実際にそのような付録をどのように作成するのかというような特集です。

このムックは時々買っているのですが、毎度贅沢な企画で楽しんで作っているのが伝わってきます。素晴らしい。

Amazonではプレミアがついてしまっていますが、定価は税抜き2000円です。

リンクは販売元のグラフィック社です。

http://www.graphicsha.co.jp/detail.html?cat=4&p=36919

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というわけで昨日2018年2月10日の自作Kindle有料版ダウンロード数は1冊。無料版は0冊でした。

本日、著者セントラルの作者紹介の文章を変えました。
まあ、もっと早く変えておけ、という話ですが、その辺りはどうでもいいと思って放置してしまうのが素人の浅はかさ。
おとなしく自分の好きな作家と小説のタイトルを並べてみました。

それでは本日もお疲れ様でした。
お休みなさい。

未消化のネタ
・困ったときには自作小説の紹介
・困ったときには詩のような戯れ言を垂れ流すこと
・困った時には今月の本の雑誌
・『無限島』下巻読みたいので上巻を再読中……
・『徒然チルドレン』もう一回読んでからとか言っていつ読むのか……
・『蝉時雨のやむ頃』やっぱりすごい。スゴすぎて次が読めん……
・あらためて『エリア51』に手を出しました!


私的名作マンガ(Kindleで入手可能なもの)











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