2016年12月09日

不思議なことに心躍る瞬間があったり

昼寝研究所寝言レポート#993

さて、本日も希望を探して石ころをひっくり返してみたりアマガエルの腹を触ってみたり駅の天井で寒風に揺れる蜘蛛の巣を指さしてみたりするおっさんが密かなため息とともにJR京都線のホームからお送りする寝言日記でございます。

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金曜日。
ほぼ定時。
寒いです。

これだけ時間に余裕があると梅田の紀伊国屋に寄って今年のこのミスとかあのミスとか買って帰ろうかと思ってみたりもします。

今年も全くと言っていいほど小説を読んでないのですが、ランキング本を読むのは大好きなので特に問題はないかと。

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はい、電車に乗ったら座れませんでした。こんな時間だから当たり前か……

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梅田で紀伊國屋書店へ寄って『この世界の片隅に』の映画ムック購入して『このミス』と『本格ミステリベスト10』を買って電車の中で座れなかったので「本格ミステリベスト10」を読んでいました。

海外本格ミステリのランキングで1位と2位がマクロイなのを見て思わず笑ってしまいました。
といっても、マクロイを読んだことはないのです……
確か高校の時に読んだハヤカワの『密室大集合』に「鏡もてみるごとく」という短編が入っていて『トリックがすごくて、後に長編になった』という紹介があったために未読のままいつか長編を読もうと決め、そこから10年以上たってようやく『暗い鏡の中に』が手に入って、でも結局読んでいないという……

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そういえば、この密室大集合の中に長編密室ミステリのベスト10があって、その第2位の作品ヘイク・タルボットの『魔の淵』も20年以上たってからようやく読めました。
その間、二階堂黎人氏がネットでサイン本のプレゼントをするからメールで応募して、というのでメールを出し、ついでにこの作品について訊ねたところ、それほどの作品じゃないですよというような返事をいただきました。ちょっとうろ覚えですが。

そのおかげで期待せずに読んだら、それなりにオモシロかった記憶があります。事件の詳細は一切忘れましたが。

この『密室大集合』の中には素晴らしい短編がたくさん収録されていました。
いつか書いたと思いますがビル・プロンジーニの『アローモンド監獄の謎』という凄まじい不可能犯罪のお話があります。
まあ、現象だけ書いてしまってもスゴいのですが、衆人環視の中で首つりの刑を執行された死刑囚がそのまま消えるという内容です。
そんなことあるわけがないのですが、そういうお話です。これがもうお見事。

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あ、というわけで、本格ミステリベスト10は国内編も国外編もまったく読んだことのない作品ばかりですが、Kindleになっているものがあれば手を出してみたいと思いました。

この書籍も紙の本しかないのが難点ですが……

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本日2016年12月9日の22時53分現在のKindle有料版ダウンロード数は1冊。無料版も1冊。
既読ページ数は861ページです。ありがとうございます。

電車の中で書き終えることができずに、帰宅して食事して風呂に入って桃太郎電鉄やってVS嵐見てようやく日記を書いていないことを思いだして慌ててPCを起動してキーボード連打して急いでいるのにダラダラと昔読んだ短編のことなんぞ書いてしまってもうすぐ23時というありさま。

本日もお疲れ様でした。
お休みなさい。

未消化のネタ
・困ったときには自作小説の紹介
・困ったときには詩のような戯れ言を垂れ流すこと


posted by Red56 at 23:00| Comment(0) | オススメ密室ミステリ

2015年10月01日

わたしの好きな短編ミステリベスト3

十月になりました! 六花抄の読まれたページ数がいきなり159になったので、それを記念して短編ミステリベスト3企画です!

やっぱり読んでいないミステリの話よりは読んだ&好きなミステリの話をしたいわけですよ!

……うーむ、しかしこれ、書こうと思った瞬間に迷うな。
それに、以前も似たようなことを書いた気がするけど、何回書いても楽しいからいいか。

まず、わたしが好きなミステリは「不可能犯罪もの」です。

あ、それだけだ。
なので、好みは著しく偏っております。

で、短編、というからには短い作品。
……大きな館が消える巨匠エラリー・クイーンの傑作『神の灯』は……長編ではないけど、短編でもないか。

うーん……
はい、選びました。というわけで、発表です!
ドラムロールと拍手は各自でお願いいたします。

まずは最初の作品。
エドワード・D・ホック『革服の男の謎』
アメリカの田舎町の開業医、サム・ホーソーン先生は、よくおかしな事件に出会います。
というか、出会う事件がすべて不可能犯罪という驚愕の短編シリーズ。
中でもこの『革服の男』の奇跡はちょっと他に類を見ないものではないでしょうか。

というわけで、いま読み返してみました。
50年前に死んだ革服の男。
そして、再び革服の男が現れた。サム先生は興味を持ってしばらくその男とウィスキーを飲みながら一緒に歩きき始めた。
途中で何人かの顔見知りと出会い、延々と歩き、最後にはすっかり酔っ払って、行き着いた宿で二人とも泊まる羽目に。
しかし、目が覚めるとサムは一人きり。宿屋の女将は「先生はお一人で来られました」と答える。
そんな馬鹿なと思い、昨日出会った人々に話を聞くと、誰もが革服の男なんか見ていないと言い張るのだった……
わたしは途中まで「これはいくらなんでも合理的に説明がつかないのでは?」と思ってしまいました。
ところが、これが解かれてみれば強引ながらも明快なオハナシ。そして、見事なまとめ方。ため息がでます。
1000以上の短編ミステリを書いたというホック。唯一無二の存在でした。
……未収録のサム・ホーソーンをどこかにまとめてほしいものです。
残念ながらいまのところ本シリーズはKindle化されておりません。
紙の本でお楽しみを。


続いての作品は……
ジョン・ディクスン・カー『妖魔の森の家』

おお、やっぱりこれか……(自分で選びました)
ありふれてますか?
まあ、傑作だからしょうがないですよ。

二十年前に別荘の鍵の掛かった部屋から忽然と姿を消し、数日後に戻ってきた娘。
そして、いまヘンリー・メリヴェル卿の前で奇跡が繰り返されることに……

はい、密室に取り憑かれた作家。こんな人はもう後にも先にも彼しかいません。
短編よりは長編の作家ですが、この妖魔の森の家はあまりによくできています。
魅力的な謎の提示、そして恐ろしい幕切れの鮮やかなこと。
いやあ、素晴らしい!

某パタリロの中でこの事件のネタバレがあります。別のところで『妖魔の森』というのも出ていました。
まあ、魔夜先生がミステリ愛のある方だということはわかるので、わたしの中では良しとしています。(偉そうだな)



そして、最後を飾るのはこの作品です。

ギルバート・キース・チェスタトン『ムーン・クレサントの奇跡』
はい、なんか、このタイトルを出すの、もうここ数年で何度目か。
個性的なトリックの宝庫。ブラウン神父シリーズがたまらなく好きなのです。

鍵の掛かったビルの14階の部屋から忽然と姿を消した男が発見されたのは思いもよらない場所だった。


おお、紹介がこれだけでいいのか?
トリックは単純。新本格出始めの頃か! とツッコミを入れたくなるようなものです。
でも、これが、ブラウン神父の世界ではなんだか見え方が異なってしまうのです。
このシリーズの持つ独特の雰囲気。

でも、訳が古すぎて、これではなかなか新しい読者を獲得できないのでは……もったいないことです。
きっと、作者がチェスタトンだから、飜訳も難しいんでしょうね……
そして、新しい飜訳になったら、わたしが感じていた雰囲気も変わってしまうのかもしれません。



……あれ、違うぞ。
ごめんなさい。密室で選んでこの作品にしたけど、ブラウン神父の作品で、一番気に入っているのは別の作品でした。
やっぱりこっちです。
密室じゃないけど!

じゃじゃーん。
ギルバート・キース・チェスタトン『折れた剣』
「賢い人間なら樹の葉はどこに隠すかな」
「森のなかですよ」

あまりに有名なこのやりとりが出てくるのがこの短編です。
そして、ここで繰り広げられる物語の異常なことといったら……
理屈が積み上がって丁寧に組み立てられたその先に姿を現すモノの恐ろしさよ。
ミステリだけが、こんな物語を可能にするのです。



はい、というわけで、三つとかいって四つ出ましたが、とにかく選びました!
だんだん紹介文が手抜きになりましたが、いずれも面白い作品ばかりです!
そしていずれもKindleでは読めぬ!

……古典ミステリが全部電子書籍になってくれないと、安心できない……
これだけ古いミステリが読める国は日本だけですよ!
ここは是非データを電子化して、絶版を恐れなくてもいいようにしていただきたい。

あー、でも出版社がつぶれたらKindle版も販売停止になるのか?
その場合にそのデータを買った人はどうなるんだ?

先日紹介したクーンツもそうですが、「少し前の海外作家」の電子書籍化が著しく遅れているようです。「電子化など項目に入っていない翻訳&販売の権利」がネックになっているのでしょうか。
あるいは、いまさら苦労して電子化しても、売れるわけでもなし、ということかもしれません。

いつかブラウン神父の新訳が世に出てくれることをつぶらな瞳のフリして夢見ております。
posted by Red56 at 22:19| Comment(0) | オススメ密室ミステリ

2015年07月26日

新訳出てました『ユダの窓』

『ユダの窓』の新訳が出ていました。
うーむ……買うべきか買わざるべきか。

かつてディクスン・カーはわたしが最も好きな作家でした。
いまでも本棚の一番上の棚はカーの本が並んでいます。

まあ、名作です。
このブログでも過去に紹介していると思いますが。

結婚を許してもらおうと、恋人の父親ヒューム氏の家を訪れた青年ジェームズ・アンズウェル。しかし、部屋に通された後で気を失ってしまう。
目を覚ますと、部屋の中には胸に矢が刺さったヒューム氏の死体が。部屋には他の人間はおらず、窓にもドアにも鍵が掛かっていた。
そして、彼は殺人罪で逮捕されてしまう……

絶望的な状況におかれたジェームズの弁護に乗り出したのは我等がヘンリィ・メリヴェル卿。
彼はこの殺人事件には他に犯人がおり、そいつは『ユダの窓』を使って被害者を殺したと主張する。


というようなオハナシでございますよ。
カッコ良すぎる。
密室の帝王であるディクスン・カーが辿り着いた究極のトリック。もはやワビサビの世界かと。

で、珍しく二回読んでいるというぐらい好きなのですが、そこへきてこの新訳ですよ。
むー。
座談会が載っているわけですよ。

ジョン・ディクスン・カーの魅力=瀬戸川猛資、鏡明、北村薫、斎藤嘉久、戸川安宣(司会)


これは読みたい!
このためだけに買っても損はない!

しかしなあ……もう紙の本で小説は買わないと決めているのに……
ハヤカワから出ている三つの棺はKindle版があるのです。

東京創元社も頑張っていただきたい。



posted by Red56 at 02:20| Comment(0) | オススメ密室ミステリ

2014年08月26日

ブラウン神父の存在こそが奇跡『ムーン・クレサントの奇跡』

密室ものの名作を紹介しているシリーズ第三弾です。
これ、ちゃんとお互いをリンクで結ぶべきですよねえ……

下の部分にリンクを貼っておきます。

さて、第三弾はブラウン神父ものの一つ『ムーン・クレサントの奇跡』でございます。
ブラウン神父が活躍する短編集のシリーズ第三弾である『ブラウン神父の不信』に収録されております。

ムーン・クレサントと呼ばれる三日月型のビルの最上階から姿を消した男。
その後、意外なところで発見されます。

読み直そうと思ったけど、読みにくいのでやめました!
なので詳細は一切忘れています!
誰か新訳を!
個人的には田口俊樹さまを希望!

とにかくトリックが仰天。だけどわかりやすい。なるほど、確かにそうなればそうできるかも。
などと思ったらもう作者の術中に。
いやあ、力業だけど、小技がいろいろと効いていて、実に丁寧。
要するにアレです。
美しいミステリなのですよ。

この『不信』にはもう一つ優れた密室ものの『犬のお告げ』が収録されています。
巻頭の紹介ではブラウン神父の作品の中でも一番のできだそうです。
まあ、もちろんこの作品、隙のない傑作(とにかく犬が……)ですが、わたしの中では一巻の『ブラウン神父の童心』に収録された『折れた剣』が神がかり的な出来だと思っています。
と、前にも書いたけど、もう何度でも書きますよ。

『折れた剣』は密室でもなければ不可能犯罪ものでもないのです。それどころか単なる当たり前の理屈の連鎖です。
しかし、その連鎖がとんでもないところへとたどり着くのです。

いま、その理屈の始まる一文を記載したのですが、やめます。
ネットでこの一文をググると一気にタネあかしまで紹介されていることが多いようです。
ここは、できるだけ真っ白な状態で読んでいただきたい。

作者ギルバート・キース・チェスタートンは知の巨人として知られた人でしたが、天才がその才能と稚気を見事にブレンドしてこの奇跡的な短編集を書き上げました。
嬉しいことです。

『古書の呪い』や『通路の人影』なども忘れがたい作品。
まあ、傑作揃いですが、密室もの、というくくりではこの『ムーン・クレサントの奇跡』が一番印象深いのであります。
わたしの大好きな島田荘司先生のとある短編の源流であると、思いませんか?

とまあ、名作揃いですが、やっぱり読みにくいので、新しい訳が望まれるところです。

下記にリンクを貼っておきます。表紙は最近新しくなりましたが、訳は古いままです。
残念ながらKindle版はありません。紙の本です。
読む場合は『童心』から順番にどうぞ。











これまでのオススメ密室ミステリ
密室ミステリであればまずはこれを『黄色い部屋の謎』
奇跡的な傑作『妖魔の森の家』

posted by Red56 at 01:46| Comment(0) | オススメ密室ミステリ