2014年10月08日

ややイビツな『奇巌城』に我登頂せり

さて、有名なアルセーヌ・ルパンの活躍を描いた「奇巌城」が今回の課題図書でした。

この課題図書は1928年(昭和3年)に出版された『小学生全集第四十五巻 少年探偵譚』を元に電子書籍化されたものです。
一読してまず驚くのは誤植の多さです! 「いなかった」が「いかなった」、「叫んだ」が「叫だん」、「破られて」が「破らてれ」、「判事は驚いてしきりに考えて」が「判事は驚いたしきりに考えて」、「失くなって」が「失くなてつ」等々。
小学生に読ませるには酷というもの。

電子化にあたっては旧字、旧かなの表記を現代表記に改めたとあり、変更した表記について巻末に全て列挙されてます。
「彼奴」を「あいつ」、「不可ない」を「いけない」などといった変更をされているようです。しかし「大変」を「たいへん」、「沢山」を「たくさん」と書いてあるのはどういうことか……ああ、そうか。旧字の漢字ということでしょうか。
その他にも登場人物の表記の揺れ「ボードルレ」「ボートルレ」は「ボートルレ」に統一、といった具合です。
これを電子化したボランティアの方に敬意を払わずにはいられません。

作品のできとしては、子供向けの抄訳といった感じで、なにもかも駆け足。すごい悲劇もあっさり。まあ、この誤字オンパレード(電子化にあたって修正してあるのですが、いちいち底本ではこういう表記だったと注釈があるのです)がこれ以上続いたらちょっと辛かったかも。
少年探偵が主人公で、ルパンとやり合うのですが、これって密室モノの名作「黄色い部屋の謎」に出てきたルールタビーユみたい……と思っていたら、案の定、そのキャラに似ているということで、作者のガストン・ルルー(他の代表作としてオペラ座の怪人)と不仲に、ということがWikipediaに載っていました。(http://ja.wikipedia.org/wiki/奇巌城)
……ホントでしょうか。

そして、英国の探偵エルロック・ショルムスはもちろんシャーロック・ホームズのことです。
ルパンのシリーズには何度か出ているようです。
そもそも、最初(雑誌の連載時)は「シャーロック・ホームズ」としてルパンシリーズに登場していたようです。なんの許可も取らずに。勝手に。

ルパンの物語なので、好敵手でありながら、いつもルパンに出し抜かれるという役どころに。
さすがにホームズの作者コナン・ドイルから苦情が来て、本にする際にはSherlock HolmesのShとHを入れ替えてHerlock Sholmesとしたそうです。
よかったよかった。これで何もかも丸く収まった……

……それだけでいいのかよ!
ところが、日本で飜訳されるときにはこれをわざわざ「シャーロック・ホームズ」に戻すのが慣習となっているという……
ええっと、もう言葉もありません。わたしも子供向けの「ルパン対ホームズ」をドキドキしながら読んだ記憶があります。
中身はすっかり忘れましたが。

さて、Wikipedia先生に寄ればルパンは1905年から四半世紀以上に渡って書かれたシリーズだそうです。長編と短編集を併せて二十作を超える作品が出版されています。戯曲も何本かあります。

名前だけは有名ですが、日本ではまとめて読めるようにはなっていないのが現状。近年早川書房から新訳でルパンシリーズが出ているのですが、いまのところ五冊です。
今から読むのなら、これがいいかも。どこまで続くのかは売れ行き次第でしょうか。
翻訳者はポール・アルテ(今時貴重な密室作家)もてがけておられる平岡敦先生。アルテの新作を待っておりますので、お願いします。

……いま調べたら、平岡先生、オマル(2もある)とかジャプリゾの新訳(シンデレラの罠に続いて「新車の中の女」だ!)とかやられているようで、そもそもフランス語の翻訳家が少ないんでしょう。
しかも本職ではないからなあ……

さて、わたし個人のルパン歴としては、子供の頃にジュブナイルで読んだ『ルパンの予告脱獄』が初めての出会いでした。これはとても面白かった! いまでも手元にあります。昭和47年第一刷の昭和51年第六刷です。
せっかくですので表紙の書影を。これ、少年少女講談社文庫という叢書だそうです。表紙、挿絵はペリー・ローダンを手がけられた依光隆先生。中にはフランス大使館協力による「怪事件に登場 フランスの美しい壁布」という記事が!
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が、それ以外となると……先ほどの「ルパン対ホームズ」も含めて図書館で借りて何作か読んだと思いますが、詳細は忘れました。
その後はルパン三世ですかね……

そして学生の頃。実家に帰省してやることもなく暇なので本棚に残っていた「古本屋で買うだけ買って読まずに放ってある新潮社のルパンシリーズ」を読んだことがありました。堀口大學先生の訳。
その一冊が「ルパンっぽい人が探偵役」という謎の短編集でした。タイトルは既に忘れてしまいましたが、これがなかなか優れたトリックを使った作品だったのを覚えております。
が、古い飜訳でルパンが自分のことを「儂(わし)」というのにどうしても慣れず、10冊ぐらいあった本ですが2冊程度読んで挫けました。

そして、社会人になってからのルパンとの出会いは森田崇先生の「アバンチュリエ」です。
ちょっと登場人物がマンガっぽくて抵抗があるかもしれませんが、内容はかなりしっかりとしています。なにより、作者の「ルパンへの愛」が眩しいほどです。
志の高いマンガ化。素晴らしい!

というわけで今回は楽々登頂成功でした。
いやあ、このKindle岳企画、是非続けていただきたいです。

早川の新訳 怪盗紳士ルパン


森田 崇 アバンチュリエ 1巻

posted by Red56 at 23:12| Comment(0) | Kindle岳

2014年10月02日

『幽霊塔』この果てしない道行きを僅かにでも照らすことができれば

さあ、そろそろ多くの方が絶望的な気持ちになっているかと思われます。
幽霊塔 全123章。Kindle岳クライマーの皆さんはどこまで進んでいるのでしょうか。

わたしはここまででようやく20章を読み終わったところです。
期間内に登頂は無理のようです。
昔の小説なので、言い回しが独特な感じで、その辺りでいちいち引っかかっております。
そして、とにかく漢字が多い。

というわけで、漢字を中心に気になった部分を列挙してみます。
文字化けしていたらごめんなさい。

時計塔の高さ八十尺……一尺が30.30cmなので、24mぐらい。
夫……「それ」と読みます。とにかくこの字がよく出てくる。
斯う……「こう」です。「斯う思う」なら「こうおもう」と。「斯く」ならば「かく」でしょうが、「こう」でもこうなのか。この字もよく出てきます。
而し……「しかし」と読みます。「然し」や「併し」はともかく「而し」は知りませんでした。
併し……「しかし」上と何か意味が微妙に異なったりするのだろうか……
扨……「さて」です。これを漢字にするか!
爾して……「しかして」ですか?
爾とも発表が出来ぬから……「そうとも」とふりがな。上の「爾して」も「そうして」かもしれません。
頓て……「やがて」
茲……「ここ」
婀娜……「なよなよ」これは怪美人のことを指して云っているので、褒め言葉。婀(たお)やかで娜(しな)やかであると。
愈々……「いよいよ」だそうです。読めねえよ! ちなみに「愈」一文字でも「いよいよ」と読むようです。まあ、使いませんが。
三十二相極めて行儀好く……Wikipedia先生によれば仏の身体に備わっている特徴を三十二相八十種好(さんじゅうにそうはちじっしゅこう)というそうです。これも怪美人のことを指しています。すごい喩えだな。
世に云う水際が離れて居るから……誰も云ってないぞ。つまり、人間離れしているというようなことか。
纔に……フォントが潰れて読みにくいかと思いますが「わずかに」でございます。
反対……「あべこべ」これはわかりやすい!
不断着……「ふだんぎ」つまり普段着です。ATOKでも変換できるので、一般的なのか?
閑話……「あだしごと」と読みがふってありました。無駄話という意味です。
密旨……秘密の命令のこと。これを持っている人が密使。
咒文……「じゅもん」
卓子……「ていぶる」とふりがな。これはおしゃれ。
真に美人で無くては歩み得ぬ婀娜とした歩み振りで遣って来た……その様子を見たいような見たくないような。
聊か……「いささか」
宛で……「まるで」かな? あたかも、という字ではありますが「まるで」は辞書にも載ってないぞ……
宛も……こちらは「あたかも」
?々……「しばしば」です。この他に屡々という字も用いられるようです。
彼処……「あこ」または「あそこ」です。
甚く……「いたく」
無言の儘目を見張って……「儘目」って何だ? と思って調べていたら「むごんのまま、めをみはって」という事でした!
悉く……「ことごとく」です。
故々……「ゆえゆえ」か? 「故々し」で「普通でない。趣がありすぐれている」という意味があるそうです。
漸う……「ようよう」これはいまの小説でも?々使われる言葉です。
恰も……「あたかも」
獣苑……動物園。なお、作中に出てくる「獣苑興行人のチャリネ」は実在の人物で、明治19年に秋葉の原で「世界第一チャネリ大獣苑興行、曲馬興行」を開催したそうです。(続 駅名で読む江戸・東京 著者: 大石学)
烟……「けむり」
鶯喉に珠を転がす……「おうこうにたまをころがす」探したけど、誰もそんな言い回しをしていないので「東洋の詩人ならそんなふうに云うだろう」というだけの話か。
迚も……「とても」
何方……「いずかた」
了ません……「おえません」
盡す……「つくす」
邪慳……「じゃけん」
顋……「えら」この場合は虎なので、アゴの横の部分のことかと。
瞰いて……「のぞいて」俯瞰のカンです。見おろすという意味合い。
断念めて……「あきらめて」でしょう。
阿容々々……「おめおめ」とふりがな。読めん。
頽れる……「くずおれる」崩れるように倒れたり座り込んだりすること。くずれおるではありません。
赤手空拳……「せきしゅくうけん」徒手空拳と同じ意味かと。
天降る……天上界から地上に降りる。そうか。美しい言葉だったのか。
遽てた……「あわてた」急遽の遽です。
縦しや……「よしや」縦は「縦(よし)んば」とも読むそうです。
ドバの港……鳥羽の港ではなくドーバー海峡のあるドーバーでしょう。港湾都市だそうです。
便々と……「べんべんと」だらだらと長いさま
叔父はニコニコ者で帰って来た……幸せそう。
其のうちに又何の様な好い風の吹くまい者でもない。……すごい言い回し。
三磅やるよ……「ぽんど」ふりがな付き。おお、これがポンド。
最と巧みに……「もっとたくみに」でしょうか。
都の贅沢家が唯夏ばかり遊びに来る為に建てた消夏亭……消夏亭。ステキ。
所天……「しょてん」仰ぎ敬う人。子から見た親。妻から見た夫のことだそうです。古くさい言い方です。「ところてん」は「心太」と書きます。
只管……「ひたすら」おお、知りませんでした。

とりあえず20章まででこんな漢字が目につきました。
Kindleの本はPCでコピペ出来ないので大変でした!
間違っていたら、コメントでお知らせなどいただければ幸いです。

升に似た神社の鳥居みたいな漢字の正体がわかりませんでした。

それでは皆様のご健闘を祈りつつ……


posted by Red56 at 20:47| Comment(0) | Kindle岳

2014年09月29日

俺のことはいいから先へ行ってくれ『幽霊塔』

まだ読了していませんが、Kindle岳第三弾の課題図書『幽霊塔』の耳寄り情報をお届けします。

作者である黒岩涙香は、ミステリ好きには有名な作家です。
中島河太郎氏が日本ミステリ史を纏め上げた「日本探偵小説全集」のまさに一巻が「黒岩涙香・小酒井不木・甲賀三郎集 」と題されております。
この本には日本の探偵小説の嚆矢となった黒岩涙香「無惨」が収録されています。

さて、そんな涙香氏ですが、Wikipedia先生によれば明治時代の知識人であり、思想家、作家、翻訳家、探偵小説家、ジャーナリストという肩書きを持つすさまじい人物。
新聞記者時代に海外の小説の翻案(大筋は変えずに、表現を変更)で一躍有名に。やがて、自分で新聞社を作り、スキャンダルを大々的に取り上げる手法で部数を伸ばすなど経営者としてもかなりやり手であったようです。

さて、今回、Kindle岳の課題図書として選ばれた「幽霊塔」も海外の小説の翻案です。
元はイギリスの小説家、アリス・マリエル・ウィリアムソン(Alice Muriel Williamson、1869年 - 1933年)の「A Woman in Grey」という作品。
この小説、何故か江戸川乱歩も後に翻案しているという人気ぶり。

日本では、飜訳はおろか原書も入手が難しい状態が続いていたようです。
ところが、2008年に論創社の論創海外ミステリ(このラインナップのすさまじいこと!)でついに日本で初の飜訳本が出版されるという快挙が!
もちろん、わたしも今回調べるまでまったく知りませんでした!

というわけで、あの時計塔で出会った女性が「灰色の着物」を着ているわけです。
そして「余の住居」が倫敦なわけですよ。

話は次々に展開するのですが、漢字が多くて苦労します。
これだと一週間で読むのはほぼ絶望的と思えたので、とりあえずこの小説についての情報をまとめて、この難攻不落の塔へ挑んでいる皆さんに、何というか、気を紛らせて欲しいと、そんなことを祈りつつ公開いたします。

小森健太朗氏のサイト「大きなお茶屋さん」に原書と涙香&乱歩の翻案との比較が掲載されています。
が、トリックに触れているようなので、無事幽霊塔を制した方、あるいは諦めた方のみご覧下さい。
http://homepage2.nifty.com/kkomori/doku0004.htm



そして日本初(え? そうなの?)の探偵小説である「無惨」です。こちらは涙香のオリジナル作品。


そして乱歩の同作品の翻案小説。タイトルも涙香に倣っています。


日本探偵小説全集は紙の本しかありません。
全12巻揃えれば、なんだか自分が強くなったような気がします。


posted by Red56 at 23:52| Comment(0) | Kindle岳

2014年09月26日

Kindle岳第二弾『スリーピー・ホローの伝説 故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より』

さて、Kindle岳の企画第二弾は前回の『古事記物語』とはうってかわって洋物の古い物語でございます。

ワシントン・アーヴィングの『スリーピー・ホローの伝説 故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より』でございます!

えーっと、物語の背景となるスリーピー・ホローというのはWikipedia先生によれば「開拓時代、アメリカに渡って来た残虐なドイツ人騎士がいた。彼は殺されて首を切られたがやがて復活し、光る眼を持つ馬に乗って森の中で殺しの犠牲者を待っている、というのが伝説の骨子である。森が多かったニューヨーク近郊で語り継がれている。」という都市伝説のことだそうです。

この幽霊伝説が残っている、ハドソン河沿いの村にやってきた一人の教師イカバッド・クレーン(Ichabod Crane)の恋の顛末を描いたお話です。

訳者は吉田甲子太郎という翻訳家/児童文学者。こうしたろうではなくきねたろうです。偕成社から出ているトム=ソーヤーの冒険、ハックル=ベリーフィンの冒険は共に吉田先生の訳書です。
まもなくこちらも青空文庫に並ぶかもしれません。
児童文学作品もいくつか発表されています。こちらは何編か青空文庫で読むことができ、Kindleでも「負けない少年」が無料本として登録されています。
そして、なんと「新青年」という古い探偵雑誌に翻訳ミステリを提供していたらしいです。

さて、古い小説の、古い翻訳。
もうそれだけで醸し出される雰囲気というものがあります。
大仰な形容。ただ辺りの情景を描写するだけなのに驚くほど多くの言葉を費やします。
なんだかよくわからない比喩などが出てきたりしますが、それも世界を構築する資材の一つ。

文学作品とは縁遠いわたしですが、ミステリでは例えばブラウン神父などがそれにあたるかと思います。
うっとりと世界へ浸り、つらつらと続く描写にうっかりすると瞼が閉じそうになっている。久々にそんな感じを堪能しました。

早川や東京創元社のクイーンも訳は古いと言えば古いのですが、ちょっと違う気がします。おそらく原文がそういったものではないのでしょう。

さて、せっかくなのでKindleの機能を使って、気になる点をいくつかメモっておきました。
今回は時間的に余裕もあったので、その辺りをWikipedia先生を中心に調べてみました。

「むかしあの猛々しいライオンが、おおらかな気持ちで、羊をだいてやったように」という謎の例えが出てきます。なんじゃこりゃ。
ネットをあたってみましたが意味不明。原書でもほぼそのような感じで書かれています。おそらくは聖書のエピソードだと思われますが、そのものずばりという感じではありませんでした。

「ふさふさしたクローバーの上に、しばしば寝ころがって、マザーの恐ろしい話を熟読玩味する」という一文。
マザーの恐ろしい話……
マザーグース? ではないわな……他の箇所に「彼にとってかけがえのないコットン・マザー(Cotton Mather)の著書からいろいろと抜萃し」とあります。
……うわー、調べたら魔女狩り推進の学問的権威とか出てきました。この「恐ろしい話」とは1689年に書かれた「妖術と悪魔つきに関する注目すべき神慮」のことかと思われます。

「ウィッパーウィル(Wipperwill)」……おお、良い名前。夜だけ鳴く鳥だそうです。ヨタカの一種だそうです。
ちなみにWikipedia先生によればヨタカ(夜鷹)は鳥綱ヨタカ目ヨタカ科ヨタカ属に分類されるそうです。

「みな彼を師表と仰いでいたが」……師表って言葉をたぶん初めて見ました。

「馬はここちよい場所で深く眠りこんで、玉蜀黍や燕麦のみのっている山々や、おおかわがえりやクローバの生えた谷間を夢に見ていたのである」
おおかわがえり? ネットでヒットしない言葉が。もしかしてイネ科の多年草であるオオアワガエリのことか?
原文ではtimothy and cloverとあります。おお、まさにオオアワガエリ。
誤植? 方言と言う可能性も……あと、クローバーとクローバと表記の揺れが気になります。
これが自分の書いた小説なら気にしないのですが……

「伝奇物語の真精神に従って」……真精神。謎の言葉だ! 原文ではin the true spirit of romantic story.

他にもいくつかありましたが、こんなところで。
ネットは便利だなあ……

まあ、ストーリーはどうってことのないものなのですが、語られる世界の美しさが印象に残りました。
ヴァン・タッセルの家の描写や「縫物仕事の会」へ向かう道中の風景の説明がとても素晴らしいのです。

最後に「用心深い老紳士」が出てきて、それらしいことを示唆する台詞をいくつか並べます。

ミステリであれば、この超常現象(というほどのものではありませんが)を、この老紳士が理論的に説明して「この物語には不可解なことなど一つもないのです。ただ一つ、オランダ人の世継ぎ娘の女心を除いてはね」と締めくくるべきなのでしょうが、そうはなりません。

新青年に翻訳ミステリを提供している訳者であれば、きっとこのような終わり方も思いついたことでしょう。

まあ、実際にはそうなっていませんし、それを仄めかしながらつつましく幕を下ろすというのが良いのかもしれません。

というわけで、この企画のおかげで「Kindleで色んな小説を読む」というわたしの当初夢見ていたことが実現しております。
とても楽しいです。こうでもしなければマンガばかりに偏ってしまうので……



児童文学作品です。
posted by Red56 at 03:16| Comment(0) | Kindle岳